バリア機能
バリア機能について
よく見聞きする、「バリア機能」とは、いったいどんな役割があるのでしょうか。
今回はバリア機能についてまとめていきます。
肌の「バリア機能」は、文字通り、私たちの体を外部の刺激から守り、内部のうるおいを保つための「防御壁」のようなシステムです。
この機能が正常に働いているおかげで、肌は健康でいられますが、弱まると乾燥、赤み、肌荒れなど、さまざまなトラブルを引き起こします。
バリア機能は主に、肌の最も外側にあるわずか0.02mmほどの「角層」が担っています。
バリア機能を構成する3つの主要素
バリア機能は、主に以下の3つの要素が連携して働いています。
1. 皮脂膜(ひしまく)
- 役割:肌の表面を覆う「天然の保湿クリーム」
- 構成成分:皮脂腺から出る「皮脂」と、汗腺から出る「汗」が混ざり合ったもの。
- 働き:肌表面を弱酸性に保ち、雑菌の繁殖を防ぎます。また、水分の蒸発を防ぐ「フタ」の役割も果たします。
2. NMF(天然保湿因子:Natural Moisturizing Factor)
- 役割:角層細胞の中で水分を抱え込む「スポンジ」
- 構成成分:アミノ酸(約半分)、乳酸、尿素、ミネラル類など。
- 働き:角層細胞(レンガに例えられます)の内部に存在し、水分をがっちり掴んで離さない働きをします。肌の柔軟性やみずみずしさを保ちます。
3. 細胞間脂質(さいぼうかんししつ)
- 役割:角層細胞の間を埋める「セメント」
- 構成成分:セラミド(約50%)、コレステロール、脂肪酸など。
- 働き:角層細胞(レンガ)同士をしっかりとつなぎ合わせ、隙間を埋めます。
- セラミドが主成分であり、水分の蒸発を防ぐ最も重要な役割を担います。
- 外部からの刺激(紫外線、花粉、雑菌など)が肌内部に侵入するのを防ぎます。
「皮脂膜(フタ)」、「NMF(スポンジ)」、「細胞間脂質(セメント)」の3つが揃って初めて、強力なバリア機能が発揮されます。
バリア機能を維持するために必要なこと
バリア機能は非常にデリケートで、日々の生活ですぐに乱れてしまいます。
以下の「守ること」と「補うこと」が重要です。
1. 【守るケア】刺激を減らし、バリア機能を壊さない
- 洗いすぎない(洗浄)
- 洗浄力の強すぎるクレンジングや洗顔料(特に脱脂力の強いもの)は、必要な皮脂膜やセラミドまで洗い流してしまいます。
- 熱すぎるお湯(40℃以上)は、セラミドを溶かし出してしまうため、必ずぬるま湯(32〜34℃)で洗顔してください。
- こすらない(摩擦)
- クレンジング、洗顔、タオルで拭く際、化粧水をつける際など、すべての場面で「摩擦」はできるだけ避けてください。わずか0.02mmの角層は、こするだけですぐに傷つき、バリア機能が低下します。
- 紫外線対策(UVケア)
- 紫外線はバリア機能を直接破壊し、炎症を引き起こす最大の外的要因の一つです。赤みや乾燥がある時は、低刺激な日焼け止め(紫外線吸収剤フリー/ノンケミカル処方など)で優しく肌を守ることも大切です。
2. 【補うケア】バリア機能の成分を補給する(保湿)
バリア機能が低下している時(乾燥・赤みがある時)は、失われた成分をスキンケアで補う必要があります。
- セラミドを補う:最も重要です。細胞間脂質の主成分である「セラミド」が配合された美容液やクリームで、セメントを補強します。
- NMF(アミノ酸)を補う:化粧水などでアミノ酸類を補給し、肌の水分保持力を高めます。
- 皮脂膜を補う:スキンケアの最後に、乳液、クリーム、バーム、ワセリンなどの「油分」でフタをし、皮脂膜の代わりをさせて水分の蒸発を防ぎます。
3. 【育むケア】健康な角層を作る(生活習慣)
- 質の良い睡眠
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- 肌のターンオーバー(生まれ変わり)は睡眠中に最も活発になります。バリア機能が正常な角層細胞を作るためには、十分な睡眠が不可欠です。
- バランスの取れた食事
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- 健康な肌(角層細胞)を作る材料が必要です。
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- タンパク質:肌の主成分(肉、魚、大豆、卵など)
- 必須脂肪酸:セラミドなど細胞間脂質の材料(青魚、アマニ油、ナッツ類など)
- ビタミン類:ターンオーバーを助ける(ビタミンA、B群、C、Eなど)
- ストレス管理
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- 過度なストレスは自律神経を乱し、血行不良やターンオーバーの乱れ、皮脂バランスの悪化を招き、バリア機能を低下させます。
まとめ
バリア機能とは「皮脂膜」「NMF」「細胞間脂質(セラミド)」の3つで構成される防御壁です。
それを維持するためには、
「こすらない・洗いすぎない」
「セラミドなどで徹底的に保湿する」
「紫外線から守る」
という外側からのケアと
「睡眠・栄養」という内側からのケアの両方が不可欠です。
肌のトラブル・不調、エイジングはバリア機能が低下しているために引き起こしてる可能性があります。
肌を変えていく第一歩として、バリア機能を整えていきましょう。
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